ゲーム音楽分析シリーズ・FINAL FANTASY編。(分析にはコードチャートテンプレートを使用するとわかりやすいです)
FFⅦより「クレイジーモーターサイクル」です。
FFⅦはミニゲームが多いのが特徴ですが、序盤でまさかのレースバトルをやることになるとは誰が予想したでしょう(w)。
クラウドがバイクに乗ってる有名なイラストがありますが、たぶんあの絵ができた時にこのレースのアイデアもできたのではないでしょうか。
このバイクはハーディ=デイトナというらしいですね。こんなのは男の子は惚れちゃいますね。
このカコイイバイクに乗るのはゲーム中は後にも先にもこの時だけ。クラウドは主人公のわりに存在感が薄いので、どうしてもバイクにのった見せ場が欲しかったのかもしれません。
バイクの登場シーンでは誰もが「クラウドカッケー」となったはずですからね。
Ⅶではこのシーンの印象がやけに強く記憶に残っている人も多く、曲を聴いただけでこのバイクレースを思い出してしまい、思わず笑いがこみあげてしまう人が多いんです。
それくらい有名な曲です。
レースゲームらしくBPMはかなり早い180くらい。
この曲も「忘らるる都」の時に解説した「コンテクスト型」タイプの構成になっていますが、こちらはよりテクノっぽい感じ。
イントロ
Dm… B♭… Dm
ピコピコDmアルペジオ→
16ビートドラム→&ベースオスティナート→
→ティンパニ
というように楽器が増えて盛り上がっていきます。ここではティンパニがいい味出してますね。
A E♭mスケールに転調
E♭m… B♭(-5) B♭…
アルペジオ、ベースのパターンは同じままスケールがいきなりE♭マイナーに変わり、白玉のパッド的なメロディが入ってきます。
このメロディの音作りが何とも言えない。トレモロの聴いたすごく良いシンセの音です。
そのメロディに呼応するように、さりげなくアルペジオのパターンが少し変化していますね。
メロディが終わったところでコードがB♭に変化。3度がないので長短は不明ですがマイナーでしょう。
B♭に変わってはじめの2小節だけベースがB♭→E→B♭→E・・・と動いて、すぐE♭が5度のFにもどります。
EはB♭の減5度ですから、一瞬だけディミニッシュになってる感じですね。B♭(-5)→B♭という動きです。
ベースに減5度があることによって一瞬だけ強い不安定感が演出されてるわけです。細かいポイントですが。
B Dmスケール、Gmスケール、B♭mスケール
Dm… Gm…Dm
Dm… B♭…B♭
(イントロのDmにもどってループ)
ここからはオルガンのリフです。ルート+5度と4度を行き来するロック的なシンプルなリフです。
Dmスケールでパターンが提示された後、すべての楽器のフレーズがまったく同じパターンのままGmスケールに転調して繰り返します。
オルガンのリフが終わったあとは、Dmにもどって今度はアルペジオパートが譜割を維持した状態で新しいメロディのパターンを提示します。
そのパターンも同様に、今度はB♭mスケールに転調して繰り返します。
このように、全てのパートが同じパターンを保ったまま、別のスケールに転調して繰り返すことを「並行和音」と言います。
Dmで提示されたパターンを、GmやB♭mに転調して繰り返しているだけです。ただコピペして転調しただけ。
このとき、転調した先のスケールやコードは、転調する前のスケールやコードと同じタイプにします。マイナーコードだったらマイナーコード、メジャーコードだったらメジャーコードです。
コンテクスト型の曲、特にテクノなんかでは頻繁に用いられる手法です。かんたんに変化をつけられ、曲の長さも水増し(w)できるので便利な技です。