浜渦正志さん Mr.Masashi Hamauzu―作曲家特有の語法分析(1)


浜渦正志さん Mr.Masashi Hamauzu―作曲家特有の語法分析(1)diceworksFCIII Chord Progression

フレーズライティングの研究―作曲家特有の語法分析

 

対象作家:浜渦正志

作品:SaGa Frontier 2

Play List

https://www.youtube.com/watch?v=6vNNFEM2V7Q&list=PLUd_zEKvTSJu3z68aDPYWQacI895qa6NQ

※紹介している楽譜はあくまで聴感上のノート配置を記述した暫定的、簡易的なものです。

※紹介している楽曲のmidiファイルを用意しました。より詳細なノート配置はそちらをご活用ください。

 

主な特徴

コーダルなコンテクストでは、転調を多用した独特の進行が多く見受けられます。

モーダルなコンテクストでは、7sus4コード上でスケール音を細かく散りばめたり、複数のアルペジオを組み合わせた浮遊感あるサウンドを多用することが特徴です。

 

ここでは特に汎用性高く、取り入れやすい以下の表現について考察し、実際の例を見ていきます。

ぜひご自身の制作に取り入れてみてください。

 

・転調を多用した独特のコード進行

・7sus4コード上でのステイ

・ミニマルコンテクスト生成

・ピアノアレンジのヴァリエーション

・自由自在なベースライン

 

❏転調を多用した独特のコード進行

「Feldschlacht III 」ポストコーラス(メインコーラス後6小節)

https://youtu.be/FoxQd4EDTOI?t=25s

(リンク末尾の「25s」は該当部分の再生位置です。)

メロディ&ベース

FCIII Chord Progression

ベースを半音下降させていく進行ですが、ベースラインが跳ねまわっているためクリシェラインを強調させずに、前半2小節のメロディと和声進行を並行移動させたように聴こえます。最後の2小節も半音となりのコードを行き来する感覚で、アウトしたメロディとあいまって終止感の薄いルーズなコンテクストとなっています。このように、典型的なカデンツを用いず、さりげなく流れるような進行、終止感を演出する傾向が、多くの曲に見られます。

他の参考曲に「Präludium」「Todesengel」などがあります。

 

❏7sus4コード上でのステイ

モーダルなコンテクストで多用。

細かいアルペジオやリフの背景にストリングスによるパッドが入るパターンが多いです。

 

 

「Mißgestalt」C7sus4

https://youtu.be/b9R9Qj0wEw0?list=PLUd_zEKvTSJu3z68aDPYWQacI895qa6NQ

ブラス、ベース、ストリングスパッドによる基本コンテクスト構築。

Mißgestalt C7sus4

これはもっとも基本的なパターンです。この曲はシンプルな2部構成で、メインコーラス部がコーダル、それ以外はC7sus4でステイするモーダルなコンテクストとなっています。
 C7sus4部ではベースがルートをペダルし、パッドが7sus4コードを鳴らす上に、メロディを乗せています。この後、徐々にリズム・セクションが充実し、ピアノによるカウンターメロディなどが追加されていきます。
「Feldschlacht I」イントロ A7sus4
これも基本パターンです。
FSI Intro1
イントロ後半部、さらにStringsとWoodwindsを混ぜたようなシンセ音色によるバッキングを追加。
FSI Intro2

「Rückerinnerung」後半部 C7sus4
ストリングス、ピアノ
Strings
Rucker 7sus4 Strings
Piano
Rucker 7sus4 Piano
Rucker 7sus4 Piano2
この曲ではピアノがリズミックなバッキングによって低域、中域、高域の要素を全てカバーし、その裏にストリングスのパッドが鳴る構造になっています。

「Dithyrambus」D7sus4 3本のメロディ
木管群による3本のメロディ
Dithy Melo
Dithy Melo2
この曲はミニマル・ミュージックの構造であり、コード一発ものです。D7sus4コードを分解したミニマルなコンテクスト(以下に紹介)の上に、スケールに沿ったメロディが3本現れます。うち、先に登場する2本は全く同じもので、ハーモニーを補う程度の動きで、これがパッド的な役割を担っていますが、遅れて登場するメインメロディは躍動感のあるメロディとなっています。
(続く)


admin

コメントを残す