V#は、近親のスケールからだとVI-メロディックマイナーのVIIが一番近いです。よってもっとも典型的な導入方法は、VIへ向かうセカンダリードミナントとしてIIIドミナント7を導き出すことです。
III7-VI, E7-Am7
V#の導入によって得られるコードをまとめてみます。
I-CM7aug
III-E7
V-G#dim7
VI-AmM7
オーギュメントコードは、転調のテクニックというよりはクリシェラインとして使用されることが多いです。
C-Caug-Am(onC)-C7
IIIドミナント7は、ドミナントVの代理とみなすこともできますし、VIはIと代理できますので、III7-Iという進行も考えられます。
III7-I, E7-CM7
V#dim7は、VI-メロディックマイナーのVIIのコード、またはIII7(♭9) のルート省略形とみなし、メロディックマイナースケールでの進行モデル(VII-I)通り、VIへ進みます。
V#dim7-VI, G#dim7-Am7
VImM7は、VIメロディックマイナースケールのIとみなし、トニックの代理として使用できます。かなりきわどい響きなので頻繁には扱いずらいですが、ミステリアスな雰囲気などを狙う時は使えます。
V7-VImM7, G7-AmM7
以上は全てVI-メロディックマイナースケールのモデルに従った進行パターンです。近親スケールでV#を含むものはVI-メロディックマイナーだけですので、トランスフォーメーションもVI-メロディックマイナーに含まれるもののみとなるわけです。
V#をVI-メロディックマイナースケール以外からのサブスティテュート・ノートと見るには、Im, IV, V, VImの近親スケールから離れたスケールを参照する必要があります。つまり、近親スケールから得られるサブスティテュート・ノート(III♭,IV#,V#,VI♭,VII♭)に加え、それ以外にも複数のサブスティテュート・ノートを用いる可能性が出てきます。その場合については「リージョン」の項で述べたいと思います。
◽️VII♭
VII♭は、IV-メジャ=スケールのIV、トニックマイナースケールのVIIにあたります。例によって、まずは各オリジナルスケールのダイアトニックコードを参照し、サブスティテュート・ノートを含むもっとも代表的なコード進行モデルを導きだしましょう。
From IV-major : V7-I
→セカンダリー・ドミナント I7-IV
C7-FM7
From IV-major : IV-V-I(サブドミナント)
→サブドミナントとしてのVII♭メジャーコード
VII♭-IV, B♭M7-FM7
From I-minor : VII-I(ドミナント)
→ドミナントとしてのVII♭メジャーコード
VII♭-I, B♭-C
などが使いやすい代表的な導入パターンの例です。
VII♭を導入した時のダイアトニックコードの変化は以下です。
I-C7
III-Em7(-5)
V-Gm7
VII-B♭M7
I-ドミナント7thは、IV-メジャースケールのVにあたります。他のセカンダリードミナントと同様、4度進行または偽終止として、トニックへの解決に使用できます。IV-メジャースケールの代理トニックであるIIIとVIはトニックスケールと共有(それぞれVI,II)ですので、偽終止のパターンも共有できます。
I7-IIm7, C7-Dm7
I7-VIm7, C7-Am7
IIIm7(-5)は、IV-メジャースケールのVIIです。よって進行モデル(VII-I)に従います。
IIIm7(-5)-IV, Em7(-5)-FM7
Vm7は、IV-メジャースケールのII、トニックナチュラルマイナースケールのVにあたります。マイナーコードになったことによってドミナントとしての力を失い、トニックへの帰結力は弱まります。IV-メジャースケールのII-V-Iという進行モデルに従い、I7とコンビネーションで使うのがもっとも効果的でしょう。
Vm7-I7-IV, Gm7-C7-FM7
VIIM7は、IV-メジャースケールのIVにあたります。上述の通りサブドミナントの代理として導入できます。
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