作曲時に用いるリージョナル・アプローチ


作曲時に用いるリージョナル・アプローチdiceworks

[REGIONAL APPROACH IN COMPOSITION]リージョンを使った作曲
ここでは作曲のツールとしてのリージョンの使い方を見てみます。
 
TOPICS
 
⚫︎作曲時に用いるリージョナル・アプローチ
 リージョンの考え方はどんなタイプの作曲において有効でしょうか。基本的には、機能和声、ダイアトニックコードを用いる作曲すべてに使えます。ジャンルも関係ありません。コードが頻繁にチェンジするコーダルな曲にも、停滞的なモーダルな曲にも使えます。どのリージョンを使ってはいけない、などという禁則のようなものもありません。ただリージョン間の距離感によって使いやすいリージョンとそうでないリージョンがあるだけです。よって無調音楽や偶然性音楽のように機能和声に頼らない音楽以外にはほぼ使えます。
 
リージョンを戦略的に計画して論理的に作っていくやり方=ロジック、感覚的な作曲をサポートするやり方=フィーリングの2通りのやり方があります。まずは前者から紹介します。
 
▪️LOGICAL STEPS
STEP 1 トニックスケール/トニックリージョンを決める
リージョンはトニックを中心に広がる多様なハーモニーを効果的に活用する手段です。よって、まずはじめにトニックを決めます。あまりに当たり前すぎてあまり意識されていないかもしれませんが、今一度トニックを選ぶ目的や意図を振り返ってみます。なんとなくランダムに選ぶよりも、以下のようなことを意識していたほうが役に立ちます。
 
 「キー」とトニックリージョンはほぼイコールと考えて構いません。コーダルな曲ではもちろん、最初に決める曲のキーのルートがトニックとなります。キーを決めないモーダルな楽曲でも、作曲している部分の一時的なトニックはどの音かを意識しておきます。
 
キーの選び方は基本的には自由ですし、作った後に移調することも可能なので、特に基準がない場合は感覚的に良いと思うキーで作り始めて構いません。が、たいてい次のような基準があります。
 
・使用する楽器によって絞る
ギター使用想定曲ならば解放弦を活かせるD,E,A,トランペットやクラリネットを想定する曲ならばB♭、など、楽器の特徴や音域によって得意なキーがありますので、使用楽器、使用音色が決まっている場合は、自然それらを考慮したキーが選ばれるはずです。
 
・歌い手の音域によって調節する
うたものの場合は、歌い手の音域や技量を考慮した作曲がなされますが、サビの音域が高すぎる場合などは、作曲した後でサビ全体を長2度下げる、などということがあります。
 
・ピッチカラー、スケールカラーによって選ぶ
12のピッチは、それぞれ微妙に違ったニュアンスを持っています。かなり繊細な感覚ですが、例えば白鍵は全体的に明るい、黒鍵は全体的に暗い、A♭はふくよかでやわらかい感じ、F#は硬くてとがった感じなど、その響きや感じ方に差があるのです。この差はどうやら含まれる倍音の違いよって生まれているようなのですが、絶対的にどの音がどういう特徴を持っているということは断言不可能です。感じ方には個人差がありますし、それほど気にしない人もいます。が、確かにピッチそれぞれには、独自の「カラー」があることは知っておきましょう。
よってその上に作られるスケールも、ルートの違いによって微妙にカラーが変わってきます。ですので、カラオケでキーを変えるように、作った曲を後から別のキーに変えてしまうと、それは厳密には同じ曲ではなく、ピッチカラーの違う別の曲のように感じられます。すると、作曲していた時に感じていた雰囲気、気分が失われて、違和感を感じることもあります。逆に、移調したあとの方が合っていると感じることもあります。このようなことを考慮すれば、完全にランダムにキーを決めるわけにもいきません。
以上のことを考えた上で、最終的には、自分がもっとも違和感なく、合っていると思われるトニックスケールを選ぶのがよいでしょう。
 
大抵の場合、はじめに曲全体の雰囲気としてのメジャーかマイナーかも決めるので、途中で転調・モーダルインターチェンジするにしても、曲全体としてメジャースケールメインかマイナースケールメインかもはっきり決めておきます。こうして選んだこのトニックスケールを、トニックリージョン[T]とします。
 
 
STEP2 トニックリージョンの提示
 では基本的なコード進行を組み立てていきます。どのようなコード進行にするかは、セクションごとの役割によって変わってきますが、トニックリージョン提示部ではおおよそ以下のパターンが多いです。この時点では、まだサブスティチュートや他リージョンは意識せず、トニックスケールのナチュラル・ダイアトニック・デグリーのみで進行を作ります。
 
・インターチェンジ
特定の基本コードのみを行き来する停滞的な進行パターンです。I,IV,Vのトーナルデグリーを用いることが多いです。
I-V,I-V-I
I-IV, I-IV-I
I-IV-V-I-IV-V
I-VI, I-VI-I
etc.
 
・ 循環コード
定番のコード進行パターンを使って、一定小節で循環するように作ります。
I-VI-II-V
I-V-VI-III
I-IV-II-V
IV-II-V-I
etc.
 
・プログレッション
決まった循環進行はなく、自由にコード進行を作ります。
I-IV-III-II-V-VI-II-IV…
IV-V-III-II-VI-V-I…
 
 
STEP3 リージョナル・アプローチ
次に他リージョンを介入させます。主に次のような手法があります。
 
・サブスティテュート&トランスフォーメーション
・リージョンチェンジ
・モーダル・アプローチ
 
サブスティテュート&トランスフォーメーション
別リージョンからノートをサブスティテュートし、トニックリージョンのナチュラル・ダイアトニック・デグリーを変化させます。セカンダリードミナントやサブドミナント・マイナー、パッシング・ディミニッシュなどの、すぐにトニックリージョンに戻れるような用法が基本です。
 
リージョンチェンジ
トランスフォーメーションを橋渡しに、別のリージョンへ完全に移行します。リージョン間でルートが共通のコード、またはそのトランスフォーメーション、ドミナント7thやディミニッシュコードは橋渡し(ピボットコード)としてよく使われます。
 
モーダル・アプローチ
サブスティテュート&トランスフォーメーションを多用し、複数のリージョン間を浮遊するようにコードをつなげていく方法です。メジャー/マイナーのインターチェンジやディミニッシュコード、トライトーン・サブスティテュート(裏コード)などを多用すると、結果的にはいろいろなリージョンからのサブスティテュートが行われ、ひとつのリージョンに停滞しない、または複数のリージョンを行き来することになります。トーナリティやファンクションよりもスケールカラーを意識するこのアプローチは、ジャズやモーダルな曲で好まれ、コーダルな曲でも一部取り入れることによりヴァリエーションをもたらすことができます。
 
以上が基本的なアプローチです。これは論理的なものですので、慣れないうちや感覚的にパッと作れないときに有効です。
ある程度慣れてきて感覚的にコード進行が浮かぶようになると、上記のステップを順番に踏むのは煩わしくなってきますので、次のようなアプローチがあります。
 
▪️FEELING
STEP1 楽器を弾いたり歌ったりしながら、直感的にコード進行をつくる。その際、トニックリージョン、そのセクションの長さ(小節数)、はじめと終わりのコードだけはしっかり決めておく。何度か作り直し、良い部分は残し悪い部分は捨てる。
 
STEP2 コード進行にリージョンとデグリーを当てはめ、全てのコードのトニックリージョンとの関係、距離感を把握する。
 
STEP3 修正。聴き直して無理があると感じる進行を直す。遠すぎるリージョンのコードを近いリージョンのもの、またはトニックリージョンのもので代用する。
 
STEP4 改善。サブスティテュートの可能性を探り、しつこくない範囲でコード進行を彩る。
・ナチュラル・ダイアトニック・デグリーをサブスティテュートに置き換える
・ナチュラル・ダイアトニック・デグリーの間にサブスティテュートを挿入する
・ケーデンスにサブスティテュートを挿入する
 
以上です。では「リージョンを用いたハーモニー、コード分析」で用いた「Misty」を作曲者側の視点をイメージして見ることで、上記のステップを確認してみます。作曲者の作曲過程をはじめから終わりまでイメージしてみることで、作曲時に必要な思考やプロセスを洗い出してみます。作曲者になったつもりで、あたかも作曲過程を思い出すようにプロセスをたどってみましょう。
 
⚫︎「Misty」の作曲過程をイメージ
▪️ロジック
STEP1 トニックリージョンを決める
 まず大前提として、ジャズ曲ですので、全体的な構成要素としてジャズ的なアレンジのイメージが作曲者にはあったと思います。すなわち基本的なメロディとコードがあり、ピアノによる伴奏とメロディ、またはサックスのメロディにピアノの伴奏を合わせるなどの演奏イメージに、コード進行には適度なサブスティテュートを加えて彩りを添え、時には即興的な挿入句やコード、装飾なども加ようか・・・などなどです。このようなイメージによってどのようなコード進行、リージョナル・アプローチが必要かが見えてきます。
 
このように、どんな曲でも作曲する前に、ジャンルごとに大まかな完成のイメージがあるはずですので、それを思い描いた上で、どのようなリージョナル・アプローチが有効かを判断していきます。
 
サックス系の管楽器は♭系の移調楽器を使うことが多いので、トニックリージョンは♭系にしたいと思います。ここではE♭です。
 
STEP2 トニックリージョンの提示
トニックリージョンをE♭メジャースケールに決定した後、ナチュラル・ダイアトニック・デグリーのみで基本的な進行をつくります。進行パターンは「プログレッション」です。仮メロディ(基本的にダイアトニックトーンのみ)ができている場合はそれに合わせるように、コード進行からメロディを作る場合はメロディをイメージしつつ、進行を作っていきます。
 
I | V I | IV | IV VII |
I VI | II V | III VI | II V |
 
EbM7 | Bb EbM7 | AbM7 | AbM7  Dm7(-5) |
EbM7 Cm7 | Fm7 Bb7 | Gm7 Cm | Fm7 Bb7 |
 
STEP3 リージョナル・アプローチ
次にサブスティテュートです。まずは2−3小節目に注目します。ここではIV(AbM7)に向かって、V-I-IVと4度進行が続いています。これを利用して、定番のツーファイヴ進行がつくれます。V-IをIVメジャースケール、つまりサブドミナントリージョン[SD]内の、ルートが共通のII-Vと置き換えます。
 
I | *V *I | IV
EbM7 | Bbm7 Eb7 | AbM7
 
Bbm7は単独で見ればファイヴマイナー[v]のIのように見えますが、直後のEb7-AbM7との関係で見れば明らかに[SD]に近しいコードです。その状況でいきなり単独で[v]リージョンに介入するイメージは普通は起こりません。このようにサブスティテュート&トランスフォーメーションした場合、複数のリージョンに共通のコードは、どのリージョンからの使用かはっきりさせないといけませんが、使用するリージョンは前後の文脈を考慮し、音楽的にふさわしいものを選ぶとよいでしょう。
 
次に注目するのは3−4小節目です。4小節目は5小節目頭のI(EbM7)に向かってIV-VII-Iと進行しています。これは一般的には、サブドミナントードミナントートニックと意図すると思われますが、VIIをサブドミナントと見る(裏関係の代理ートライトーンサブスティテュート)ならば、VIIはIVの代理として機能し、サブドミナントを連続させていると見ることもできます。
 
さらに、メロディの流れから見ると、3−4小節目は1−2小節を少し変化させながら繰り返すパターンになっていることがわかります。
 
作曲では「変化をつけながらを繰り返す」というのはもっとも多用する展開手法のひとつです。その原則は、(繰り返される部分の)ある要素は保ったまま、別の要素を変化させる、ということです。メロディを繰り返す場合、メロディの基本音形は保ったまま(原型がわかる範囲ならば変えてもよい)、ハーモニーを変えて、メロディをコードトーンに合わせるというのが基本の方法です。それによって、音楽的展開を作りながらも「メロディを繰り返している」ことをリスナーに伝えることができます。これ自体は別段特別な方法ではないので特に意識せずともやることが多いです。
 
ここでもその手法に従って、4小節目は2小節とは異なるコード上でメロディを繰り返しているわけですが、ここで「繰り返し感」をさらに強調するための方法があります。それが、「コード(進行)の種類を保つ」です。
 
繰り返すときに、コードのルートは変えますが、コード進行の種類を「繰り返される部分」と同じにするのです。
 
2小節目はBbm7-Eb7 という流れ、つまりツーファイヴ、4度進行のマイナー7thードミナント7thです。
 
この形を4小節目に当てはめると、Abm7-Db7となり、IVがIVmに、VIIがbVIIに変化することになります。
 
|*IV *VII |
Abm7 Db7
 
このIVmとbVIIは、[t]のIV-VIIと見てもいいですし、[♭M]のII-Vと見てもよいです。4小節目全体を[♭M]リージョンとみるならば、ここは5小節目頭EbM7に向かってII-V-VIという流れになり、ツーファイヴー偽終止という進行だと定義できます。偽終止はマイナーコードに解決することが多いですが、I以外のトニックに解決していれば、上のコードはメジャーでも構いません。そうするとこの部分のようにリージョンを移行することができます。このようにリージョン接続ポイントではルートが共通のコードをトランスフォーメーションさせて、そのコードを橋渡しにスムースな移行を行うことができます。
 
最後に7−8小節目です。ここはIII VI II Vと4度進行の連続になっています。このような場合全てをドミナント7thコードにしてセカンダリードミナントの連続にしてもよいですが、あまりやりすぎてもしつこくなるので、一箇所だけにセカンダリードミナントを使うだけでよいと思います。
 
Gm7は前小節Bb7からの流れでV-IIIの偽終止となり、メロディもここで一区切りするのでナチュラルデグリーのままがふさわしいでしょう。そこから最後の8小節目にかけては、メロディはなくコード進行の流れで1小節目と接続して2ループ目につなげることになるので、7小節目のIIIによる終止感から、なめらかに接続までもっていく必要があります。8小節目はツーファイヴ進行によってそのまま自然に1小節目につながりますので変える必然性は少ないでしょうから、間のCmをドミナント7thにするだけで丁度よい展開がつくれます。Fm7を[dor]のIと見立て、直前のCを[dor]のVとして扱い、セカンダリードミナントをつくります。Gm7も[dor]のIIと見立てることでGm7(-5)に変化させることが可能ですが、先述したようにここはトニックリージョンの偽終止がふさわしいので[T]のIIIとして扱うにとどめておきます。
 
Gm7 C7 | Fm7 Bb7 |
 
結果として全体的に次の進行が出来上がるというわけです。
 
I | *V *I | IV | *IV *VII |
I VI | II V | III *VI | II V |
(トランスフォーメーション・デグリーに*印)
 
EbM7 | Bbm7 Eb7 | AbM7 | Abm7  Db7 |
EbM7 Cm7 | Fm7 Bb7 | Gm7 C7 | Fm7 Bb7 |
 
ちなみに、2小節目Eb7などはさらにトライトーンサブスティテュート、いわゆる裏コードというもので代理できます。こうすると、Bb-A-Abとベースで半音進行が作れ、ジャズの常套手段となります。
裏コードとは、ある音と増4度(or減5度)関係=裏関係の音をルートとするコードのことで、EbをルートとするならばAをルートとするコードにあたります。3度関係の音は代理しやすいと以前触れましたが、増4度は短3度✖️2の位置にありますので、「代理の代理」と考えることもできます。ここではA7に代理してもよいでしょう。これ自体は、#IV7という新たなトランスフォーメーションコードに見えそうですが、実はEb7(b9,b5)の根音省略形としても見られるので、結局はEb7の変化形として回収されます。ただ形が変わっただけです。
 
このようなロジックで必要な部分に最適なリージョンをあてはめて、ナチュラルデグリーを変化させていきます。
 
 ▪️フィーリング
  論理的なステップを踏まずに感性のみで作る場合は、メロディから作るとかコード進行から作るとかいう手順のようなものはなく、たいてい複数のことが頭の中で同時に起こっています。作りたいジャンルに精通しているならば、曲全体のイメージを浮かべれば、後は歌ったり楽器を弾いたりしながら、リズム、メロディ、ハーモニーが同時的に作られていくことでしょう。使うコードもトニックリージョンとそれ以外のリージョンからのものがある程度混在するようになるはずです。特にセカンダリードミナントやツーファイヴ、サブドミナントマイナー、裏コードなどは、慣れればいちいち計算せずとも流れの中で使えるようになるので、あとで直したいと思わないかぎりそのままでよいのです。
 ですから、一通り作った後に、直したい部分や、構造的な必要性(セクション間の接続や本格的転調など)のある部分を洗い出して、その部分に対してロジカルなアプローチで修正を加えたり、新たなコード進行を加えていくことになります。感性で補えない部分や定義しづらい部分を、リージョンを使って修正、意味づけすることで、より音楽的に説得力のある曲に仕上げていくこというわけです。その際の手順は、上に記した通りです。
 
 ⚫︎様々なサブスティテュートの可能性
 上記の例のように、実際の作曲では様々なリージョンからサブスティテュートを行います。色々なリージョンを用いたサブスティテュートの可能性を探ることで、ハーモニーのヴァリエーションを増やすことができます。では、近親リージョン(SD,D,sm,t)からの基本的なサブスティテュートについては既に述べましたので、それ以外を含めたリージョンからのサブスティテュートについてまとめてみます。
 
 「リージョンの種類」の項で紹介したリージョンチャートをご覧ください。これを見ながら、トニックリージョンに近いリージョンから順に見てみます。
 
 
[D]#IV
[SD]♭VII
[t]♭III,♭VI,♭VII
 
これらは既に紹介した通りです。以下、各リージョンのデグリーとトニックリージョンのデグリーをてらし合わせて、対応するサブスティテュートを列挙します。
 
[v]♭VII,♭III
[sd]♭VI,♭II,♭III
[M]#V,#I,#II
[SM]#I,#IV,#V
 
[♭M]♭III,♭VI,♭VII
[♭m]♭III,♭V,♭VI,♭VII,♭II
[♭SM]♭VI,♭VII,♭II,♭III
[♭sm]♭VI,♭VII,♭I,♭II,♭III,♭IV,♭V
 
これで全て網羅できました。全て覚える必要はありません。遠いリージョンになるほど、重複するノートが多くなること確認できればOKです。
 
複数のリージョンに共通のサブスティテュート・ノートについては、どのリージョンからのサブスティテュートなのか、その定義はコード進行の流れでふさわしいものが自然と決まります。借用元のリージョンを常に意識することが大切です。
が、結局重複するものを除くと、代表的なサブスティテュート・ノートの派生元は[D][SD][sd]のリージョンに帰結させることができます。
 
[D]#IV(♭V)
[SD]♭VII
[sd]♭VI(#V),♭II(#I),♭III(#II),N(♭I)
 
これに、[♭sm]における♭I,♭IVを加えると、すべてのサブスティテュート・ノートが網羅されます。
 
基本のサブスティテュート」の項で紹介した、トニックマイナースケールからの「♭III,♭VI,♭VII」は[sd]と[SD]の中に、VI-メロディックスケールからの「#IV,#V」は[D]と[sd]の中に、同一のノートが存在します。よって、すべてのサブスティテュート・ノートは以上4つのリージョンの中に集約されているのです。
 
「基本のサブスティテュート」の項では、近親リージョンからのサブスティテュート・ノートを導入することによって得られるサブスティテュート・コードをひとつひとつ見ていきました。次の「サブスティテュート&トランスフォーメーション」からは、以上3つのリージョンの影響のもとに、トニックリージョンのダイアトニック・コードに起こる変化(トランスフォーメーション)をデグリーごとに見ていきます。


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