サブスティテュート – [VI♭]


サブスティテュート – [VI♭]diceworks

▪️VI♭
サブドミナント・マイナー
 VI♭は、トニックマイナースケールのVIにあたります。「サブドミナント・マイナー」という用法で導入されることで知られており、IV#と同様に使用頻度の高いサブスティテュート・ノートです。もっとも多いのは、サブドミナントIVコードに含まれるVIの音を♭させることで、本来明るく希望的なIVコードの響きが、マイナーの哀愁ある雰囲気に変化する、そのサウンドはメジャースケールの進行内で使用すると非常に効果的で、ポップスやバラッドなどで多用されるのです。
 とはいえIVmはサブドミナント・マイナーの代表というだけで、また実際にメジャーコードがマイナーコードに変化しているために覚えやすいというだけで、VI♭を導入することで得られる「サブドミナント・マイナー」コードは他にもあります。すなわちメジャースケールのダイアトニックコード群においてVIを含むコード、IIとVIIです。これらはもともとマイナーコードなので、わざわざ「サブドミナント・マイナー」と呼ぶのはおかしいのですが、慣用的にはそう呼んでもよいことになっています。正確に整理したいならば、あえて「サブドミナント・マイナー」という言葉は使わずに、「トニックマイナーからのVIのサブスティテュートによって得られるコード」として扱ったほうがよいでしょう。
 
VI♭の導入によってダイアトニックコードは次のように変化します。
 
VI♭ in Major Scale
vibincmajor
 
II-Dm7(-5)
IV-FmM7
VI-A♭M7aug
VII-Bdim7
(サブドミナントマイナー群)
 
 これらのコードも、オリジナルスケールでの進行モデルに従って導入できます。
 
IVm7-V7-IM7, Fm7-G7-CM7
IIとIVは、サブドミナントですのでやはりVとの組み合わせにおいて使用するのがもっとも効果的です。これによって一時的にトニックマイナーのケーデンスを取り入れることになりますが、トニックがメジャーコードなので、よりサブスティテュート・ノートのカラーが強調されることになります(そのままトニックマイナーに解決してしまうと本格的転調になってしまいます)。
 
IIm7(-5)-V7-IM7, Dm7(-5)-G7-C
do-g7-c
 
 
 
IVmは4和音のmM7thだと使いずらいので、ナチュラルマイナートライアドか、マイナースケールからIII♭もサブスティテュートしてマイナー7thとして使われることが多いです。
IVm7-V7-I, Fm7-G7-C
fm7-g7-c
 
VIIdim7-V7-IM7, Bdim7-G7-C
この場合のVIIはサブドミナントとして扱い、II,IVと同様にVとの組み合わせで使えます。ただし、dim7コード本来の用法は別にあります。
bdim7-g7-c
 
 
VI♭M7augは、トニックとして扱うことができますが、オーギュメントコードは少しクセがあるので、この場合はトニックマイナーからIII♭も導入してナチュラルトライアドまたはMajor7thコートとして使われることが多いです。ややこしいですが、これもファンクションとしては厳密にはトニック(代理)だとしても、一時的転調テクニックとしては「サブドミナントマイナー」と呼ばれます。そして実際にサブドミナントの代理としてIIやIVの代わりに使われることが多いです。
 
VI♭M7-V7-I, A♭M7-G7-CM7
abm7-g7-c
 


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