世界のプロがやっている、上手な楽器練習の仕方「7ステップ」のようなもの


世界のプロがやっている、上手な楽器練習の仕方「7ステップ」のようなものdiceworks

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楽器練習の内容について記した本やサイトはいくらでもありますが、「練習の仕方」について深く教えてくれる人は少ないように思います。

要するに心の持ち方の話になってくるので、人によっては「説教か、ウザッ・・・」と思われてしまうことが往々にしてあるので、教える側も「ほんとはもっと大事なことあるんだけどな・・・タブ譜よりエクササイズより」とか思っても、あまり言えないんでしょうね・・・

しかし、海外のレッスン情報などに触れていると、内容うんぬんより「練習態度」の重要さを強調する先生たちが非常に多いのです。

日本はテクニカルコピーのうまい民族の国家というわけで、長いことそういう面は輸入されずらかったようですが、それでも最近は「技術、ノウハウよりも大事なものがあるじゃろがい」という声が大きくなってきてたような印象です。

そこで、海外のプロミュージシャンたちが実践し、重要だと強調している「練習の仕方」について、共通するポイントを調べてまとめてみました。

アイデア自体は抽象化すればほかの練習や演習にも応用できるのでおすすめ。なんとなく量だけ練習しただけじゃあやっぱダメ。きちんと頭を使うんです。

1「似ているやり方はないか」

と、いう意識をもつということ。コードの押さえて方だったら、似ているコードフォームを探す。「あ、これってあれと同じやり方じゃん」などという発見をし続ける。発見をするといわゆる「アハ体験」というヤツがビビッと脳に刻まれて記憶に残りやすくなります。

2「同じやり方ではないか/繰り返しではないか」

譜面を読むときの工夫ですね。一見長くて複雑な曲の譜面でも、繰り返しの部分を見つけると新しく覚えることは絞られてきます。また、コードやメロの一部だけ変化しただけでほかは同じ部分、転調しただけで弾き方はまったく変化していない部分なども、初期段階から発見してすらすら覚えるのがうまい人です。

3「接続(移行)練習をしっかりやる」

これは何かというと、曲のセクション間の接続(移行)練習のことです。例えば、AメロからBメロに移行するときは、「Aメロの最後4小節とBメロの最初4小節を繰り返し練習する」など。

よほどシンプルなものをのぞき、曲というのは複数のセクションがつながってできています。はじめはセクションをひとつずつ覚えていくわけですが、さいごは通して演奏するので、セクションどうしをスムーズに接続して演奏できなければなりません。

この「セクション間接続の練習」って意外と集中してやってないんです。それで、「サビからBメロに戻るときにどうしてもワンテンポおくれちゃうわ」とかいう苦手意識が発生してしまう。それをそのまま放置していると、いざというときに緊張でトチったりしかねませんので、そういうリスクを排除するために、しっかり接続練習を行っておくということです。

4「メロディ、ベース、ハーモニー、リズムを意識」

自分の鳴らしている音が、この4つのうちどの役割を担っているのかを常に意識することが重要だということです。演奏は指の運動ではなくて、音楽なわけですから、これら音楽の要素を演出しているという意識を持ってやる。

音楽はつねにこの4つの要素が一瞬のうちに構築され変化していくアートです。とくにギターは、4つの要素をすべて別々にも同時にも担当することがあるわけですから、いつでも自分の音が曲中どんな役割をしているか意識しておくのがよい。アーティキュレーションやダイナミクスも重要ですね。

5「練習ログをつける」

でました。「記録が大事」系、「ペンと紙」系のレッスン・・・こういうのが一番抵抗されるらしいですね。しかし、練習日記をつけることによって飛躍的な上達が望めると、多くのミュージシャンがおすすめしています。やり方は自由ですが、例をあげると

・今練習していること

・これから練習すること

・できるようになったこと

などを記録し、ある程度ログがたまったら、読み返して、改善点を発見し、練習内容をリファインする、というやり方がシンプルでいいと思います。というかそれぐらい簡単でないとそのうちやめるでしょう。簡単でいいから毎回ログをとるということが大切なのであって、たくさん書くことは目的ではありません。

あるテクニックをマスターしようと思って、何週間もやっても上達していないように感じたら、練習方法が間違っている可能性があるとわかる。そこで、ログを見直して、何がおかしいのか観察し、そこを直すというわけですね。うまくいっていることは、そのまま続けるか、もっと上レベルの練習に進みます。

6「繰り返す」

できないところ、ひっかかるところを何度もループして練習します。当たり前ですが、反復練習はつねに大事。

ただ、間違った弾き方でループしても間違い癖が強化されるだけ。そこでログが役立ってくるというわけ。どこをただすべきかを見返す。

おすすめのやり方は、メトロノームを使って、

自分が一番楽に弾けるテンポまで落として繰り返し弾く

→テンポを2あげる

→楽に弾けるなら、さらに2あげる

→ちょっと難しいかなと思う速さまできたら、そこがちょうど自分の壁のテンポ。そこでテンポを1落とすと、楽に弾けるテンポと弾けないテンポの境目だから、そこで弾けるようになるまでループするのが効率よい。

→テンポを1あげる。弾けるようになっていたらまた2あげる。きつかったら1おとす・・・これを原曲のテンポになるまで繰り返す。

という流れ。こんな風に、ただ漫然と練習するのでなく、自分で練習方法を考えるのがうまい人のようです。

7「イメージする」

最後がこれ。意外なようで一番重要かもしれません。イメージで弾く練習で、徹底的にリアルに理想の演奏をコピーするのです。

風呂や電車の中、授業中などに、手を動かしてもかまわないので、頭の中で音を出しながら、頭の中で完璧に弾く。これを日々繰り返す。

じっさいに楽器を持つわけじゃないから、いつだって演奏は完璧。そのイメージを脳におぼえこませるのです。

「そんなんでうまくなるかばーかしね」と思われるかもしれないが、脳というのは電気さえ流れてれば現実だろうが想像だろうが同じ経験値として記憶していくので、それだけほかの人より差をつけることができるわけです。だから脳を放置するよりは、いつも意思の力、想像力で電気を流している方がいい。いつでもだれでもどこでもできるし、やらない理由はないのです。

イメージで弾く練習の大切さは、佐久間正英さんの最後の著書にも書かれています。もしからしたら、これが一番の上達の秘密かもしれません。楽器演奏が上手な人は、演奏が好きでたまらず、寝ても覚めても楽器のことばかり頭の中で考えて、四六時中イメージ弾きしまくってるわけですからね。その量の多さと実練習の多さが倍々にかけあわさって、誰にも到達できないような境地へ行ってしまうのではないでしょうか。


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