『食の文化と謎』マーヴィン・ハリス


『食の文化と謎』マーヴィン・ハリスdiceworks食

 

 

マーヴィン・ハリス「食と文化の謎」板橋作美訳
9つのテーマで食の文化史を論ずる。何をどのように食べるかということについて世界の宗教や地域による差異を歴史的、文化的に比較。まず人間にとっての食とはどのような意味を持つかという大きなテーマから入り、肉食の重要性(ただ栄養価が高いだけでなく、歴史的、文化的な重要性)、牛と豚の扱いの違い、馬を食べる民族と食べない民族、ミルクの位置づけ、昆虫食など広範な食文化について論じていくが・・・と言えば普通のまじめな学問書のようだが、著者ハリスは「忌避すべきタブーの」文化人類学者という評判。後半に進むにつれ「ペットに食欲を感じるとき」さらに「人肉食の原価計算」と狂気じみた(本当は大まじめだが)内容に目を通すときには「なるほど狂っている」とうなずけるような研究成果に触れることになる。嫌でも連想してしまうので覚悟がない人はさらっと読み飛ばす方がよい。そこだけ見ると確かに学問書の枠を超えたグロテクスクな奇書と言えるが、全体としては純粋に読み物としておもしろい本。馬は乗るものか、食べるものか、馬は決められない。


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