『超弦理論入門』


『超弦理論入門』diceworks弦

 

「超弦理論」とはいわゆる「超ひも理論」のことだ。「超ひも」というのは一般用に広められた言葉で厳密には「超弦理論」というのがスタンダードらしいので本書ではそれに統一してある。
第一次超弦理論革命
三二次元の回転対称性
ヘテロティック弦理論
アノマリー相殺
カラビ―ヤウ空間
・・・最初から最後まで、健全なる男子諸君ならついかっこつけて口にしたくなるような、どこぞのゲームメーカーも胸ときめかす、ロマンティクなカタカナ語のオンパレード。もちろんすべて物理学の専門用語なわけだが、本場の物理学者の真剣な書でありながら、やはりどこかゲームっぽい感じがして、これらの壮大なイメージあふれるカタカナ語をわかったように口走ってはにやけている中学生のような自分に気付く。
それはそれとして、良い本である。難しい物理学の本を面白いここまで面白い読み物として作り上げたのはすごいと思う。
各章の頭には、その章のテーマを示すような作家や詩人の言葉の引用が用いられ、興味を掻き立てる。内容では電磁場を金融市場にたとえたり、弦をパスタの形にたとえたりと、日常生活に関連付けて物理学の現象を説明する。
章終わりに設けられたコラムも、エピソードやストーリー仕立てで興味深くまとめてある。
本論がどんな調子で書かれているか、一文だけ紹介しておきたい。
「超弦理論では、弦が普通の座標の方向に進行するとボゾンになり、グラスマン数の座標の方向に進行するとフェルミオンになります」


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