ストリングスで打ち込みを学ぶ―基礎(4)奏法:ショートノート系


ストリングスで打ち込みを学ぶ―基礎(4)奏法:ショートノート系diceworksviolin

 

ストリングス打ち込み講座です。基礎(3)ではロングノート系の奏法について解説しました。

今回はショートノート系です。

ショートノート系の奏法記号はソフトウェアで記号表記しにくいものが多いので、こちらでご確認ください。

1.スピッカート Spiccato

弦と弓の弾力を利用して、弓を弾ませながら演奏するスタッカート奏法。

細かいフレーズも演奏可能です。

弓で弦をたたくようにして演奏する「sultando」も同じような奏法です。曲想によって使い分けるといいでしょう。

スピッカートの演奏例

弓を弾ませるのがポイントです。見ればわかる通り、細かく弾ませるためあまり大きな音を出すのには適していません。

普通の「スタッカート」との比較はこちら。

2.マルテラート Marterato →記号(真ん中の記号)

弓を弦から離さずに、手首で音を切るスタッカート奏法。

スピッカートとは違って、ある程度強めに弓をあてがうので、大きな音量を出すことができます。しかし速いフレーズは苦手です。

マルテラートの演奏動画。

 

これらはスタッカートのニュアンスのヴァリエーションなので、スタッカートと同じ記号「・」で表し、言葉で「martellato」などと添えることもあります。

スピッカートとマルテラートの違いをしっかり整理しておきましょう。

スピッカート

―大きい音:難 速いフレーズ:OK

マルテラート

―大きい音:OK 速いフレーズ:難

 

スピッカートは空中からストロークする分、速いフレーズに適しています。速めのスタッカートを再現するときは、スピッカート音色を選択すると良いでしょう。

 

3.ピチカート Pizzicato

弓を使わずに、指で弦を弾く奏法です。

高音楽器ではあまり余韻が出ませんのでスタッカートのような効果しか得られません。

ですが低音楽器の場合は余韻が長く残るため、全音符程度まで演奏可能です。特に解放弦でやると効果的です。

弓の持ち替えに少しの時間がかかることを忘れずに。ピチカートのすぐあとにボーイングはきついです。前後には休符を設け、弓に持ち替える余裕を持たせておきましょう。

ピチカートの演奏動画。

これを見ると実際はいろいろなやり方があることがわかります。ギターのようにストロークするのは quasi guitara という奏法です。かっこよいです。

4.バルトークピチカート Bartok Pizzicato or Snap Pizzicato

弦を親指と人差し指ではさんで、指板にたたきつける奏法です。

バシッという派手な音が出せます。低音楽器でやるととてもかっこいいよいのですが、楽器が痛むので奏者にはあまり嬉しくない奏法です。やるかどうかはそこを考えるべきですね。ま、打ち込みでは関係ないですが・・・

優れたサンプリング音源にはこれらの奏法をプログラムしたものもあります。活用すればとてもリアルな奏法が再現できるはず。

以上がショートノート系の主な奏法です。前回のロングノート系奏法と合わせると、ストリングスでもかなりの表現ができます。知っておくのと知らないのとでは、打ち込みでも当然差がでるでしょう。


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