Small Ternary Form


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クラシックには Small Ternary Form という形式があって、多くの楽曲の冒頭はこの形式ではじまります。ここには現代ポップスにも通ずる「バランス」「コントラスト」の基本があるので、紹介してみます。

Small Ternary Formとは、A-B-A’の短い3部構成です。

A – Main theme

8小節を基本とする構成でモチーフ、テーマの提示。

B – Contarsting Middle

Aと対比する中間部。ドミナントでペダルすることが多い。

A’ – Repetition (Recapitulation)

Aの繰り返しだが、少し変化をつける。

これらを構成する上で重要なのは、バランスとコントラストです。バランスというのは、あまり基本モチーフから離れすぎないようにしたり、大胆な転調を多用したりしないようにするなど。コントラストというのは、ハーモニーを変えたり、リズムを変えたり、新しいモチーフのヴァリエーションを導入したり、それらの配置を変えたりして、微妙に変化をつけるなど。こういった書法のストックはたいていベートーヴェン先生から学べます。

基本的なABA’フォームの例。↓

A=8小節、B=4小節、A’=4小節。
Bは2小節単位のフレーズを繰り返しています。ドミナントペダルはAとの対比、付点音符や16音符の多用などもコントラストとして機能しています。
ここに見られるように、小節数はそれぞれ8−4−8、Aがトニックスタートで、Bはドミナントペダルというのがもっともベーシックな構成です。

↑こちらも8−4−8。Bはドミナント上での2小節フレーズの繰り返しです。

↑2楽章Largo con gran epressione。こちらABは8−4ですがA’ だけ少し長い。Bは左手が右手フレーズの模倣的な動きをしています。

↑これは各セクションが通常より長め。Bは6小節で、2小節単位のフレーズを変化をつけながら3回繰り返している。このように繰り返しを増やしたりして延長するのはよく見られます。

↑3楽章 Allegro。ここではAA’ がドミナントではじまっているので、間のBはトニックからはじまります。2小節フレーズ2回。Aが下降していくタイプのメロディなので、Bは上昇していくタイプ。

↑2楽章 Andante. La prima parte senza replica。Bは2小節フレーズリピートで、終始スタッカートのAに対してレガート演奏で対比。

↑それぞれ基本の2倍以上。Bは2小節単位の繰り返しに加えて偽終始をはさんだ拡張ケーデンスがあるのでかなり長めです。

↑Bは8小節。ドミナントペダル。メロディが徐々に圧縮されていく手法。

↑3楽章(15:53〜)。ABAは基本と逆、ドミナントートニックードミナントの展開。

 

ベートーヴェン以外の古典派作曲家も基本は同じ構造でやっていますが、それぞれがフレージングやハーモニーの点で個性的な色を出しています。


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