ダウンロードカードというビジネスモデル


ダウンロードカードというビジネスモデルdiceworks

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おとやガイド通信2014 Vol.2 Frekul Talk Live 総集編

より、人気の高い記事を一部抜粋してお見せします。

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Frekul Talk Live Vol.7 続きです。

「ライヴに集客する」

というテーマから一歩進んで、

「ライヴを黒字化する」

という内容をメインに話されたのが、

ロックオペラバンド「ラクロワ・デスフェール」リーダーの天野翔さんです。

天野さんの「ロックオペラ」というバンドは、

ヴィジュアル系×メタル×クラシック×舞台芸術

というような、自分が愛するアートの要素を複合して生み出したオリジナルコンセプトです。

そして、これは明らかにライヴに重きを置いたコンセプト。ライヴを黒字化できなければ継続できません。

そこで、ライヴを黒字化するにはどうすればよいか、という課題を解決するために、

Live音源ダウンロードカード

というサービスを発明しました。

サービス名は「LiveLockOn

これの説明にいく前に、前回やったライヴ黒字化のポイントを確認しておきます。

・コストをおさえる

むやみやたらにライヴを組まず、毎回のライヴで確実に収益を上げるために、ひとつのイベントに全力をあげる。

・プロモーションイベントをやらない

これは、前回述べた通りです。

・動員を増やす

これも前回の通り。

これらの前提要件を満たしたうえで、さらに収益を拡大するためのポイントは、

ずばり「グッズ」です。これしかありません。

アイドルグループやヴィジュアル系バンドは、ライヴでの収益をかなりの部分グッズで上げています。

会場に行ったことがある方はわかると思いますが、まるでお祭りですね。うちわやらタオルやらTシャツやらポスターやら、とにかくメンバー関連のアイテムが大量に売られています。

ライヴイベント自体の入場価格なんてたかが知れてますから、そこで収益を上げようとはふつうしません。

一度のイベントの収益を最大化させるためには、グッズ販売とその後の展開(ファン化・リピート)にまでつなげる用意が必要なわけです。

天野さんは、ダウンロードカードというビジネスモデルを導入することで、この「グッズ販売」「その後の展開」の両方を補うライヴモデルを作り上げています。

構造はこうです。

ライヴ本番の際、演奏を録音します。天野さんの会社のスタッフが録音します。

次に、その音源をネットにアップします。

それをダウンロードできるパスワードが取得できる「Live音源ダウンロードカード」を会場で販売する、というわけです。

お客さんの体験する流れとしては、

大好きなバンドのすばらしいライヴ演奏が終わって余韻にひたっている時に、

「今日のライヴ音源ダウンロードできます!」というアナウンスがメンバーからかかる。

すると、素敵なデザインが施されたオリジナルのカードアイテムがあるではないか。

「これに書かれているダウンロードコードと、氏名とメールアドレスをLiveLockOnというサイトで入力すると、今日の録音した音源を1度だけダウンロードできます」とのこと。

今日の演奏はすばらしかった、セットリストもいつもと違ったし、MCの時にドラムの人がおもしろい話をした、それに感動した。

この体験をもう一度味わえるというわけか。しかも今日限りの販売だから今しか買えない。

買う。

という仕組みです。

付随的な特徴として、

これはただの数字が書かれたカードでなく、デザイン可能な、きちんとコレクショングッズとしての機能を持ったカードであること。

自分でデザインしてもよいし、デザイナーさんに仕事をお願いしてもいい。ほかのクリエイティブな仕事を巻き込めるわけです。

また、その日その瞬間だけの演奏を録音した音源で、しかもダウンロードは1回のみ可能という設定。よって唯一の希少な付加価値があり、ファンにとってはのちのちプレミア化する可能性もある。

その日これないともだちのために、複数購入するということや、ヤフオクで高値で取引されたりという現象も起こりうるわけです。

そして、カードの販売価格は自分で決定可能。相場は1000円くらいらしいですが、よく売れているそうです。

また、ライヴをするたびに録音していれば、その都度カードが増えていく。その日かぎりの販売に限定しなければ、ライヴを重ねるごとに、販売できるカードが増えていくわけです。

かつて70年代にThe Greatful Deadというバンドが「ライヴ音源を生で高音質録音してその音源CDを後で配達する」というサービスをやって、ビートルズより稼いでいたといいますが、

それのデジタル版ですね。

このカードのすごいところは、「その後の展開」につなげる力を持ったグッズであるところ。

グッズ販売が単発で終わらず、継続的にでき、しかもライヴをするたびにグッズが増えていく、ということが可能なわけです。

今までのグッズ販売は、Tシャツやバッジやタオルなど、希少性や非コピー性は高くても、一度買ったら満足してしまうものばかり。新たなファンを増やし続けないかぎり、継続的な収益は望めませんでした。

しかしLiveLockOnカードは、希少性もあり、毎回買いたくなる、集めたくなる、という性質を持っています。

グッズ販売を毎回でき、収益化を常に維持できるシステムとして成り立つわけですね。

これは、ビジネスとしてもかなり可能性を秘めていて、たとえば落語や舞台など、バンドでなくともライヴイベント系のコンテンツには流用可能なわけです。

しかも、LiveLockOnはバージョンアップを重ねており、今後はただLive音源を録音してダウンロードさせるだけでなく、音源のストリーミング配信や動画収録までできるようになる可能性があるとのこと。

ストリーミング配信にすればコピーはできないし、ライヴ終わった帰りにすぐ音源を聴くことができる。しかも動画つきで。かなり唯一性と即効性の強いコンテンツです。

そしたら、興奮さめやらぬファンの購買意欲は高まります。家に帰るまでの間に、その日のライヴをすぐ楽しめるわけですから。

ダウンロードカードのデザインという、デザイナーの新たな仕事もできます。有名なバンドならば、CDジャケットデザインと同様に専属契約とかもありそうです。

音楽や視聴コンテンツを中心に、すごいクリエイティブ市場が連鎖的に創造される可能性を秘めているのです。

これがLiveLockOnの概要です。もちろん天野さんはご自身のバンドで導入していますし、すでにいくつかのバンドが取り入れていて、順調に収益を上げているそうです。

ある元メジャーバンドは、来場者の80%が購入したとか。

これからのライヴ収益化に必須のアイテムになりそうです。

LiveLockOnの今後の動向に注目です。

 

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