FORM – POPULAR MUSIC STYLES
このカテゴリではポピュラーミュージックのフォーム(形式)について考察していきます。
曲中のもっとも盛り上がるセクションは、日本では「サビ」と呼ぶ慣習となっています。この「サビ」を引き立てるようにポップスの音楽は構成されています。サビ以外の部分は、Aメロ、Bメロ、ブリッジ、インタールード、ヴァンプなど様々な呼び名があり、これらの呼び方にきまりがあるわけではありません。
グローバルな慣習では、サビにあたる部分は「CHORUS」(コーラス)と呼ぶのが自然です。その他の部分は、AメロBメロに相当する「VERSE」が知られていますが、他にも「HOOK」「PRE CHORUS」などあり、ある程度特徴によって呼び方を区別できるものの、やはりきまりがあるわけではありません。結局、好きなように呼んでいいわけです。
このサイトでは、混乱を避けるため、これらの呼び方をできるだけ統一します。曲の中心となる部分のことは、グローバル慣習にならい、まとめて「コーラス」と呼びます。AメロBメロサビなど、はっきりしたメロディと伴奏がある、「曲の本体部分」はすべてまとめて「メインコーラス」群にカテゴライズします。その他の補助的な部分、イントロやアウトロ、間奏などは、メインコーラスに対して「サブコーラス」の群にまとめています。こうすると、曲の構成は大きく「メインコーラス」と「サブコーラス」に分けることができ、整理しやすくなります。
[MAIN CHORUS]
「メインコーラス」は、曲の中心的な部分です。歌ものならば、Aメロ、Bメロ、サビなど、インストゥルメンタルならば、メロディ(テーマメロディ)を聴かせるところにあたります。曲の主役であり、メロディと伴奏、その他の要素がしっかり構成されている部分です。
メインコーラスで最初に注目する部分は、「コーラスタイプ」と「ハーモニー」です。この2つは密接に関連しており、どちらかを定義すればどちらかの運用の仕方がほぼ決まります。特にハーモニーの使い方は、スタイルによって曲全体の雰囲気や方向性まで決定づける要素ですので、いくつかある有効なアプローチをおさえることが重要です。
ハーモニーに関する作曲・分析のアプローチとしては、コーダルかモーダルか、という視点で分類できます。コーダルとは、コード進行によるドラマティックな展開を中心とした構成であり、モーダルとは、コード進行よりも、スケール(モード)のキャラクターに着目した色彩的なアプローチです。コーダルは歌ものやインストゥルメンタル・ポップスに、モーダルはジャズ、テクノ、ハウス、ゲーム、映画音楽など含めた種々のインスト音楽全般に多く見られます。この2つの考察は[HARMONY]に掲載しています。
[HARMONY]
コーダルか、モーダルかという設定が決まったら、具体的にどう音楽の各要素を配置していくか、が問題になります。メロディと、ベース・伴奏その他の要素の配置と動かし方から導き出される、基本的なメインコーラスのタイプについて考察しています。
メインコーラス以外の補助的なパートのことを、「サブコーラス」とまとめています。「サブ」というのは「補助的な」という意味の「subsidiary」の「サブ」です。イントロ、アウトロ、間奏など、メインコーラスの前後で補助的な働きをもたせる部分には、メインコーラスとは異なるアプローチがみられます。はっきりしたメロディがなかったり、展開感が少なかったり、断片的だったりと、どちらかというとテクニカルというか、音楽的な効果を駆使したファンクショナルな構成が多いと言えます。なかには、ほとんどサブコーラスの連続のような、テクニックとダイナミクスの変化、応酬でおすような曲も、映画やゲームなどではみられます。